Jメンタル五反田駅前クリニックです。
以前、ストレスとは何かについて紹介しました。
今日は、ストレスを感じた際に無意識に用いている
「ストレスを解消する『こころのメカニズム』」について説明します。
皆さんは多かれ少なかれ、職場や家庭、対人関係や仕事のノルマなど、様々な場面でストレスを受けています。
そのようなストレスを受けながらも、普段皆さんが心身の健康を保っていけるのは、
自分の中に自然と備わったストレスに対処する「こころのメカニズム」があるからです。
Q. 例えば、退社時間の間近に、上司から
『申し訳ないが、この書類を明日までに仕上げてくれないか』
と頼まれた場合、このストレスにどのように対処しますか?
一般的には、3つのストレス対処方法を無意識に用いて、
ストレスと付き合っていると言われています。
① ストレスを跳ね返す(欲求不満耐性)
我慢をしてストレスを押し返そうとする力のことです。
「我慢して、残業してでも仕上げる」とか、
「とにかく文句言わずにやり遂げる」等がこれに当てはまります。
② ストレスを逃がす(自我防衛機制)
しかし、全てを我慢しようとしても我慢しきれないこともあります。
そこで、ストレスを逃がす、という自分を守るためのメカニズムを用いることになります。
分かり易く言えば、頭を柔らかくして認知を変えるということです。
先程の例で言えば、「本当に明日までにやらなければならない仕事なのか、もう一度よく考えてみよう」とか、
「明日までには80%まで仕上げておけば、上司は満足してくれるのではないか」といったように、発想を転換してみることです。
③ ストレスを発散させる(カタルシス)
いくら頭を柔らかくしても問題を解決できず、更に我慢の限界に達すれば、人はストレスを発散させるしかありません。
つまり、少しずつ、ガス抜きをしてあげるのです。
先程の例で挙げるならば、「飲みに行く」「上司の愚痴を話す」「ゴルフの打ちっ放しに行く」などがそれに当たります。
3つのストレス対処法にはメリットもデメリットもあります。
① 欲求不満耐性(跳ね返す・我慢する)
例 我慢してやりきる 違う角度から見てみる
「欲求不満耐性が一番優れたメカニズムではないか」と答える方は、恐らく多いのではないでしょうか。
確かに、ストレスの原因となる問題がある時に、それを解決したり、何とか処理をしたりすれば、根本的な解決になるので、この方法はかなり有効に思えます。
しかし、職場では全てが解決可能な問題ばかりではありませんし、処理できない難題も山積みにされているものです。
つまり、この「欲求不満耐性」というメカニズムは、問題が解決できる類のものである時には有効なのですが、
このメカニズムしか持ち合わせていない場合には解決不可能、という問題が登場した時には、
たちまちストレスが解消できなくなってしまう、という欠点があるのです。
② 自我防衛機制 (逃がす・認知の変容)
それでは、「自我防衛機制」はどうでしょうか。
頭を柔らかくして物の見方を変えるというメカニズムになりますので、ストレスの原因となる問題が起きた時にも、
それを「ストレス」と認知しないよう、物の見方を変えてみれば良いわけです。
例えば、もし上司に怒られたとしても、「期待されているから叱咤してくれるのだな」と前向きに考えられれば「ストレス」にはなりません。
しかし、このメカニズムの最大の欠点は、すぐにそのような考え方が出来るようになるわけではない、という点です。
考え方がどうしても悲観的になってしまう方に「前向きに考えよう」と助言をしたからといって、
明日から考え方を急に前向きに出来れば苦労はしません。
多くの方が中々前向きに考えられないからこそ、苦労をしているのです。
③ カタルシス(抜く・発散する)
最後に「カタルシス」はどうでしょうか。
ストレスの原因となる問題が発生した時に、自分の好きな趣味をしたり、友人に愚痴を言ったりすることでストレスを発散していく方法ですので、気持ち的には少し楽になれそうです。
しかし、この方法の最大の欠点は、根本的な問題の解決がなされない、ということだと言えます。
加えて、実際に自分の仕事が忙しくなってくると、趣味に興じたり、友人と過ごしたりする時間が中々持てなくなり、このメカニズムが使えなくなってしまうことも問題となるでしょう。
皆さんがよく使うストレス対処法は、3つの内どれにあたりますか?
あるいは、どれとどれを組み合わせたものだったでしょうか?
この3つの「こころのメカニズム」は、
どれが一番優れているというわけではなく、
どれか一つのメカニズムを身につけていれば良いという
わけでもありません。
場面に応じて最適なメカニズムを使い分けられることが効果的だと思います。
自分が使っていないメカニズムがあれば、試しにチャレンジしても良いかもしれません。
自分に合うものを見つけてみてください。
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