クリニックブログ

2020.05.16更新

新型コロナウィルスの発生と、それに伴う緊急事態宣言による生活様式の変化により、
今後懸念されてくる疾病が、「ネット依存(インターネット・ゲーム障害)」でしょう。

在宅にてリモート勤務をされている社会人の方にとっては、
慣れないリモート勤務の息抜きのつもりで始めたインターネットの閲覧が、いつの間にか常態化してしまい、
「ちょっとだけ見るつもり…」が、気がついたら本業に支障が出るほどの時間を浪費していたり、
仕事中もインターネットのことが気になって集中出来なくなってしまったりすることはないでしょうか。

また急遽、宿題や課題が充分に用意されないまま、“長い春休み”に入ってしまった学生さん(お子さん)にとっては、
「宿題も終わったし、友達と一緒に遊ぶこともできない」ということから、
スマートフォンからでも気軽にアクセスできるインターネットゲーム(オンラインゲーム)に始められ、
気がついた時には、その行為(インターネットゲーム)で1日の大半が費やされてしまったり、
過度の熱中による昼夜逆転、家族との会話の極端な減少…といったことは起きていないでしょうか。


これらは、精神疾患の1つである「行動嗜癖」と呼ばれるもの(ギャンブル依存もこの中に含まれています)に分類され、
アメリカ精神医学会では「インターネット・ゲーム障害(internet gaming disorder)」として診断基準・定義が定められています。

その定義は次の通りで、過去12カ月の間に、以下の9項目の内、5項目以上該当する場合
「インターネット・ゲーム障害」とされ、早急な治療開始が必要です。

 

インターネット・ゲームに夢中になっている(=前回のゲームのことを考えたり、次のゲームを待ち望んだりして、インターネット・ゲームが日常生活の主要な活動となる)

インターネット・ゲームが取り上げられた時、離脱症状が引き起こされる(=典型的な症状は、イライラや落ち着きのなさ・不安・心の苦しさ・悲嘆反応など)。

耐性、即ち、インターネット・ゲームに費やす時間が増大していく。

インターネット・ゲームへの参加(使用制限)をコントロールする試みが成功しない。

インターネット・ゲームの結果として、インターネット・ゲーム以外の趣味や楽しみへの関心がなくなる。

心理社会的な問題(日常生活や社会生活に支障)があると分かっているにも関わらず、インターネット・ゲームを継続してやり過ぎてしまう。

家族、治療者、または他者に対して、インターネット・ゲームの使用量(使用時間)について虚偽の報告をしたことがある。

否定的な気持ち(無気力・罪悪感・不安)から逃げるため、あるいはそれらを紛らわせるために、インターネット・ゲームを使用する。

インターネット・ゲームへの参加のために、大事な交友関係・人間関係、仕事、学業を積む機会が危うくなったり、実際に失ったことがある。

 

特に、インターネットに接続できるツール(スマホ、Iパッド、パソコン)に触れはじめたばかりの若年層(学生・子ども)のリスク高さが指摘されています。

理由は、まだ自分で自分をコントロール(制御)する能力が未確立なため自己制御が難しいこと、
そして、成長途中の脳の発達に支障が出るケースもあること等がその大きな理由です。

親も始めは「大人しく一人で楽しんでくれているから」という理由で、
何気なしにインターネット・ゲームをすることを許可してしまいますが、
実は、お子さんがインターネット・ゲームに触れる際には、その前に、
徹底したピアレント・トレーニング(親の教育)が必要であると提唱する人もいるほどです。
子どもに対して、安易にインターネット・ゲームをすることを許諾していないかを、
再確認する必要があるでしょう。

そして、インターネット・ゲーム依存(ネット依存)といった「依存症」は、
「否認の病」とも言われており、
当事者は、自分が依存に陥っていることを中々認めようとしません。
「意識すれば明日からでも辞められる」くらいの気持ちでいます(実際はそのようなことは不可能なのですが…)。
よって、家族や周囲の人々が、「最近どうも様子がいつもと違う」と気がつくことで、
病院に繋がるケースも少なくありません。

そして驚くことに、インターネット・ゲーム障害(ネット依存)の患者様の半数以上が、小・中・高校生であるというデータも示されており、近年では小学生の罹患者も少なくはないと言われているのです。

 

インターネット・ゲーム障害(ネット依存)は、何よりも、

「早期発見・早期治療開始」が経過や予後に影響をしてくる疾病です。

医師による診療や、心理師による認知行動療法を始めとしたカウンセリングによる治療が可能ですので、早目のご受診をお勧め致します。

 

Presented By. Jメンタル五反田駅前クリニック(心療内科・漢方内科・精神科)

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投稿者: 医療法人社団ヘルメス会Jメンタル五反田駅前クリニック

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